子供たちの栄養改善を願って
バングラデシュでは、幹線道路から離れた貧しい農村には栄養不足の子供たちが多くいます。私たちの活動地で貧血検査・健康調査をしたところ、8割の子供たちが栄養不足のための貧血でした。成長期の子供たちのあまりの貧血割合の多さに驚き、その子供たちの栄養改善のために、学校給食を始めようと政府への働きかけを始めました。
地域の人々が参加することで、自ら子供たちの健康を守る持続可能な学校給食は、教育環境を向上させ、農村生活全体の向上につながると考え、2010年より公立小学校で学校給食プロジェクトを開始しました。
はじめての公立小学校学校給食!
JBCEAが活動するまで公立小学校で学校給食はありませんでした。そのため政府の許可がおりるまでは、大変な時間が必要でした。何度も初等大衆教育省に行って、説得しました。初等大衆教育省の次は、ジェソール県庁の許可、次はシャシャ郡長の許可。それぞれに合意レターを取るまで時間がかかりました。
2部制のバングラデシュの小学校で
バングラデシュの公立小学校は、午前が低学年、午後は高学年と、授業が2部制で行われるところがほとんどです。そのため低学年の子供たちの授業が終わってから12時に給食を食べ、高学年は午後に始まる授業の合間に給食を食べます。
給食を食べてから授業ですと、給食を食べて帰ってしまう子供がいるというので、大切な授業を少ししてから給食にしているとのこと。各学校で工夫して子供たちにとってよいやり方を考えています。
持続可能な学校給食のために
保護者をはじめとする地域住民が参加することで、持続可能な学校給食のシステムを作ることをめざしています。
開始当初から、学校給食は4年目には地元に運営を引き継ぐ計画で実施します。JBCEAが3年間支援して学校給食を一緒に実施することで、給食の方法を伝え、少しずつ学校給食を実施する学校を増やしていきたいと願っています。
2015年1月から4校目の新規校ジョドナットプール小学校で給食がはじまりました。保護者は、月2キロ(低学年)3キロ(高学年)の米を提供し(余剰米は運営費に)、生徒が自宅から食器を持ってきて、できるだけ低コストで実施しています。食材に地元産の大豆を利用し、高価な肉魚に代わってタンパク質を補っています。
学校給食は子供たちの栄養改善に効果をあげ、子供たちの体格が向上しています。それまで学校に来なかった子供たちも学校にくるようになり、教育環境の向上に貢献しています。
学校給食の開始にあたり、ご尽力くださった村山伸子教授(新潟県立大学人間生活学部健康栄養学科)が『環境さんぽ道』に当会の学校給食の取り組みを紹介しています。
学校給食のメニュー
高価な肉魚に代わって大豆で質のよいタンパク質を提供。
子供たちの食事を調査し、必要な栄養が摂取できるように、いろいろ試行錯誤の後メニューを設定しました。
学校給食が始まるまでの準備
学校給食の開始と持続への課題
1・2の小学校は2014年6月に地元にハンドオーバーし、自立運営を願って、様子を見守っているところですが、学校給食の継続には課題が多いです。3の学校は政治的な対立のため辞退となりました。
どんなによい成果が分かっても、住民自身のプロジェクトとならないかぎり、自立的な運営は困難です。4校目の小学校は自立運営に向けて住民との対話を重視し、地域コミュニティのエンパワーメントを最重要課題として、働きかけています。
学校給食オープニングセレモニー
ジョドナットプール公立小学校にて
2015年3月15日、県知事、県教育局長をメインゲストにお迎えし、郡関係者、学校、地域の有力者、保護者が参加して、学校給食オープニングセレモニーがにぎやかに行われました。
おなかをすかせたまま勉強をするのではなく、学校で栄養のある給食を食べることができる、それによって出席率が上がって、勉強がよくできるようになると、保護者の期待は高まっています。
ここジョドナットプール公立小学校では、子供たちの健康と教育のために、地域が力を出して学校給食を持続させていく自立運営をめざします。オープニングセレモニーでは、村の多くの住民が集まる中、今後JBCEAの支援は段階的に少なくし、住民の協力で子供たちの学校給食を実施していく計画を伝えて、協力を呼びかけました。
オープニングセレモニーでは、学校給食についてベンガル語のリーフレットを配布。左記はその英文のドラフトです。
年々JBCEAサポート(日本からの支援)を少なくし、セルフサポートを多くして、自立をめざします。
学校給食ファンドを作り、銀行口座に預金して管理を行います。
学校給食の実施には、学校、保護者、地域コミュニティ、政府の協力が必要です。
ワークショップの目標は、保護者や学校運営委員会、村の住民など、地域コミュニティの方々が自分たち自身のプロジェクトとして学校給食を真剣に考える意識作り。25人の参加者全員が活発に話し合いました。→最近のできごと
◇住民参加による持続可能な大豆入り学校給食プロジェクトは、草の根市民基金・ぐらんの助成を受けて行っています。(2016~2017)